ダムをつくる(「ぼくの家には、むささびが棲んでいた」)
友人が関わった本「ぼくの家には、むささびが棲んでいた」の紹介のつづきです。
昨日、この本にはダムに沈むことになった徳山村のことが書いてあると紹介しました。この本のよさを伝えるのは難しく思うのですが、もう少し続けます。もしエコロジーを考えたいと思うなら、絶対読んだらいいと思います。いい本なのでぜひ読んでください。
ダムに沈むことにより村がなくなり、そこに住んでいた人は、何か所か分かれていくことになります。
ダムにまつわるエピソードも紹介されていて、ダム建設のむだ、杜撰さにもふれているし、ダムに対して批判も書いてあるが、それも、いたずらに感情的になることはない。
書いてあることは、徳山の自然、歴史、人々の暮らしなどであり、その丁寧な文体、巧みな描写により読みやすく徳山の風土がリアリティをもってきます。
SUREにこの本の前書きから以下のような文が掲載されています。
こどものころ、「お日さまが川を渡らっしゃった」と母がつぶやくのを聞いた。午後おそくなると、日が西の山陰に落ちて、村はかげっていく。いつのまにか日は川面を越している。日に照らされて、対岸の山の雑木林の斜面はまだあかあかと明るく映えているので、余計に村のなかは沈んでみえる。刻々と色合いを変えていく山肌の残照を眺めては、その日の仕事を急がされた。氏神の杜で蝉の鳴き声がひときわ高くなり、それは午後も遅くなったと告げているようだった。 (本書「まえがき」より)
景色が浮かんできませんか?
目次
- むささびのいた家へ
- やわらかな藁の記憶
- 夜這いと電灯
- ことばの力
- 家の苗字は誰がつけたか
- 家を建てる
- 村が沈む
- 村の終わりの夏
- 祖父と暮らしたころ
- 民衛門の書留帳
- 稗飯、粟飯、米の飯
- 昭和十九年の少年たち
- 解説 「原郷」に立つ 鶴見太郎
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